food

food

夏に朝6時の直売所へ通う理由

街に漂う甘い匂い


私の住んでいる地域には、あちこちにいちじく畑がある。
7月後半になると、道を歩いているだけでどこからともなく、あの青っぽくて濃厚な甘い匂いがぷんぷんと漂ってくる。

実はもともと、いちじくは特に「大好物」というわけではなかった。
けれど去年、その考えが一変することになる。
朝6時にオープンする畑の直売所に立ち寄り、とれたての熟したいちじくを食べたのだ。
その美味しさといったら……!それ以来すっかり虜になってしまって、去年は毎日のように直売所へ通い詰めてしまった。

まさか自分が、こんなにいちじくの季節を心待ちにするようになるなんて、昔の自分が知ったら驚くだろう。

「白いいちじく」の秘密と、朝6時のカウントダウン

今年も畑の近くを通るたび、いい匂いがただよってくる。
でも、大きな葉っぱの陰に見える実は、まだ青くてかたそう。

そういえば去年、同じ木からとれたのに「白っぽい(黄緑色の)いちじく」が売られていたことがあった。
農家さんに聞くと「日当たりの違いだよ」とのこと。
大きな葉っぱの影で太陽を避けながら熟した実は、皮が赤くならずに白っぽいまま熟すのだそうだ。
そんな農家さん直売ならではの小さな発見も、通いつめたからこその楽しい思い出だ。

お盆の朝6時、開店と同時に並ぶ朝どれの熟したいちじく。
あのずっしりとした重みと、果汁が弾けるような甘さを思い出して、思わず口の中にツバが溜まる。
今や私にとってこの匂いと直売所通いは、すっかり欠かせない「夏の楽しみ」だ。

小さくなっていく実と、凝縮されていく夏の終わり


いちじくのおもしろいところは、シーズンが後半に進むにつれて、実のサイズがだんだんと小さくなっていくことだ。

樹が全力を出し切るお盆の頃の実は、水分をたっぷり含んで丸々と大きい。
けれど秋風が吹き始める頃になると、樹のパワーや日照時間に合わせて、実は少しずつ小ぶりになっていく。

でも、成長がゆっくりになる秋の小ぶりな実には、旨味や糖分がキュッと凝縮されて、濃厚な甘みになるらしい。
みずみずしい大粒の夏から、ねっとり濃密な小粒の秋へ。
実の大きさが変わっていくのは、樹が季節に合わせて作り出す味の変化であり、「もうすぐ夏が終わるよ」という静かな知らせなのだと感じる。

今年はどんな味わいを楽しめるでしょうか。
季節の深まりとともに、またこちらの記事で続報をお届けできればと思います。
みなさんもぜひ、夏の終わりと旬の味覚を楽しんでみてくださいね。

この記事を書いた人

Hirohi

back to list

related journal