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1000年前に生まれ、今もなお生きている—— 源氏物語という「心の記録」

唐突ですが、源氏物語を読んだことはありますか?

1000年も前に書かれた古典文学が、今なお人々を魅了し続けている。その最大の理由とは、いったい何なのでしょうか。

物語の中心には光源氏という人物が据えられ、彼を軸に、実に450人を超える登場人物が登場します。彼らはそれぞれに、「愛すること」をやめないがゆえに、葛藤し、迷い、傷つき、すれ違っていきます。喜びや嫉妬、執着、孤独。そうした人間の心の揺れが、丹念に、静かに描かれています。現代でいえば、まるで昼ドラのような愛憎劇!!ですがそこに描かれているのは、決して表層的な物語ではなく、むしろ人間の「本質」とも言える深層の感情であると感じます。

たとえば、愛した人の面影を、他人に求めてしまうこと。手に入らなかった愛を、ずっと心の奥にしまい続けること。誰かを想いながら、別の誰かに癒しを求めてしまうこと。強くなりたいと願いながら、自分の弱さと折り合いがつかないこと。そんな割り切れない心の動きが、あまりにも自然に描かれているのです。それらの描写は、まさに現代を生きる私たちの感情と地続きのものではないでしょうか。源氏物語は古典ではありますが、決して「過去のもの」ではありません。1000年以上も昔に書かれた物語が、今の私たちの心を言い当ててくる。それはきっと、時代が流れても、人の心がそう簡単には変わらないということの、何よりの証明なのです。

さて、今なお多くの人がこの物語に触れていることは、書店の棚を見れば一目瞭然です。原文、現代語訳、人物解説書、ダイジェスト、さらには漫画化されたものまで、驚くほどの数が並んでいます。平積みにされているものも多く、それだけ多くの読者に支持されていることがわかります。

そんな中で、最初の一冊としておすすめしたいのが『知識ゼロでも楽しく読める!源氏物語』です。この本は、登場人物や時系列の整理を図やイラストで丁寧に解説しており、物語全体の流れを俯瞰しやすくなっています。このような入門書で全体像を捉えた上で、より深い文学的な解釈へと進んでいくと、源氏物語の世界はさらに豊かに広がっていくと思います。

源氏物語といえば、2024年、大河ドラマ『光る君へ』では、この物語を生み出した紫式部の人生が描かれました。彼女がどのように物語を紡ぎ始め、どのような思いで筆を走らせたのか・・。今も昔も、人の数だけ物語はあるものです。

ふと、こんな問いが浮かびます。1000年後の誰かもまた、この物語を読み、心を動かされるのだろうか。答えはYES!!だと考えます。おそらく、私たちはそのとき生きていないでしょうけれど、源氏物語は語り継がれ、手渡され続けていくはずです。人間の情緒という「共通言語」の静かな証明。そして、まぎれもなく「生きた文学」なのだと思います。

皆さんは、普段はどんな本を好み、読みますか!?100年後も色褪せることなく、愛され続けるであろう「源氏物語」。ぜひ今世で触れてみてください!!

※画像はAIで作成。紹介した本のイラストとは異なります。

この記事を書いた人

駒田商店

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