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その瞬間こそが宝物。オーバカナルで出会う“幸運な日常”
1995年、原宿でスタートした「AUX BACCHANALES(オーバカナル)」。フランスの街角が日本に再現された、開かれたカフェ&ブラッスリーは、食事も会話も、すべてが自然に交わる場として、多くの人の日常に寄り添ってきました。現在では全国に店舗を広げ、2025年で30周年を迎えています。
公式ページには、こんな言葉が記されています。 「`日常`は当たり前ではなく幸運なもの。`日常`と対峙し、`今`を生き、`人生`を楽しむ。」見過ごしそうな何気ない時間をしっかり味わうこと。それこそが自分の人生の輪郭を形づくっていくのだと、静かに語りかけてくるような一節です。そんな思いを胸に、大阪梅田のオーバカナルへ。思った以上に早くやってきた夏に、予約したテラス席は大丈夫か?と少し心配だったが、テラス席に通り抜けてくる風が気持ちよく、小鳥がすっと近くまでやってくるのです。目の前を人々が行き交い、ざわめきがすぐそばにあるはずなのに、町の喧騒とも思える、その日常にスッと溶け込める。大切な人達と過ごす、素敵な午後でした。
予約していたテーブルで、ランチセットを楽しむ。前菜、バゲット、選べるメイン。デザートも、いくつかのタルトから好きなものを選べます。ひと皿ずつ丁寧にサーブされて、テンポも心地よく、ゆっくりと時間が流れていきます。
会話が過去と現在、未来を行ったり来たりしながら進む。それぞれの時を経て、それぞれの場所で、自分の人生をちゃんと歩んできた者たちが、時間も距離も越えて、自然に寄り添い合えることがどれほど幸せなことであるかは、多くの人が理解していると思う。その優しい空間の中にある笑い、沈黙、余白、そんな時間こそが、当たり前ではなく幸運なもの。“日常”という名前の奇跡を、これからも大切にしていきたい。
人生は、永遠じゃないからこそ、こういう瞬間を、ちゃんと味わっていけたらいいと思う。
この記事を書いた人
駒田商店