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一膳に宿る、日本の文化。京都駅で「ふつう」を見直すランチ
京都といえば、清水寺、舞妓さん、抹茶スイーツ。数えだしたらキリがないのですが、本当に語らなきゃいけないのは「漬物」なのでは?と思う今日このごろです。おすすめしたいのは、京都駅のビル内にある「竈炊き立てごはん 土井」。
このお店を運営しているのは「土井志ば漬本舗」。大正時代から続く、京都・大原の老舗漬物屋さんです。日本人にとっての漬物って、食事のわき役どころか、下手したら目にも留まっていない人も多いかも……。ですが実はそのルーツは、縄文時代にまでさかのぼるのです。縄文土器の内側から塩分を含んだ植物性成分が検出されているらしく、塩蔵や乾燥などの保存技術がすでにあり、原初的な「漬物」的食物が存在していた可能性がある(あくまで可能性の話なので確定ではないです)というではありませんか。「塩漬け始めました」って言うには歴史が深すぎませんか!?
奈良時代には既に記録にも残っており、ただ、貴族や僧侶などの間でしか食べることが出来なかったようです。この時代はお米よりもお塩のほうが高価でしたので。それでも平安時代に入るころには庶民にも広がったとか。そしてやはり江戸時代!レシピが、より豊富になり漬物文化が花開いたそうです。今の「ごはんと漬物」の黄金コンビは、このあたりで完成ですね笑!!
で、その漬物が、「竈炊き立てごはん 土井」ではなんとビュッフェ形式で食べ放題なのです。しば漬け、すぐき、千枚漬け……正直お漬物に詳しくはないのですが、全部美味しいのは間違いないです。メイン料理を一品選んでオーダー。この日は「豚ロース西京漬膳」にしました。竈で炊かれたツヤッツヤの白米と、しみじみ塩気の効いた漬物の組み合わせ。これはもう、ご飯おかわりしまくり(ご飯と味噌汁はおかわり自由!)で腹八分目を死守できないことを覚悟してくださいね笑。周りを見ると、海外からのお客様も楽しそうに味わっていらっしゃいました。
よく考えたら、お漬物って「熟成」「発酵」「手間ひま」「美意識」など、日本文化のエッセンスが詰まりまくっているんですよね。私たちにとって当たり前すぎて気づかない文化が、実はとても面白くて奥深い。「わたしたちのふつう」が世界では立派なコンテンツになる。そのことに気づかせてくれる、たかが漬物、されど漬物!京都に行ったら、神社もいいし、おばんざい料理もいいけれど、お漬物でぜひ、再確認してみてください。
ところで、京都駅に降り立つたびに思うのです。「おいおい、京都駅って、日本だったよね?」と。海外からの旅行者で賑わいすぎて、一瞬不安になるレベル。それだけ日本文化が世界から注目されているってことなんでしょうね。京都に限らずですが!だからこそ、私たち日本人も今こそ、自分たちの「当たり前」を見直してみるべき。そして、日本文化がどれだけ魅力的なコンテンツか、もっと誇りを持っていいと思うのです。
旅先で見つける「新しい体験」って、何も目新しいものばかりじゃなくていい。ずっと昔からそこにあるものを、あらためて見つめ直してみる。そんな時間こそきっと一番贅沢なんだと思います。京都駅の「竈炊き立てごはん 土井」で味わった一膳には、日本人の暮らしや美意識、そして文化の奥深さが詰まっているような気がします。お漬物から広がる日本の物語を想像し、想いを馳せてみてはいかがでしょうか!?
この記事を書いた人
駒田商店