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はなたれ小僧のバトンと夏のミスト
小さな戦士の、長かった1ヶ月

6月から始まった、息子の保育園生活。
新しい環境に飛び込んだ我が家の小さな戦士を待っていたのは、集団生活の洗礼だった。
通い始めたその日から、息子は文字通り「ずーっとはなたれ小僧」。
ティッシュを片手に追いかけ回す日々が続き、ハラハラしながら見守ってきた。
けれど7月後半になり、最近になってようやくその鼻水も落ち着きを見せ始めている。
小さな体で一生懸命に新しい世界の菌と戦い、ひとつ強くなった証拠だ。
すやすやと静かに眠る息子の寝顔を見て、ようやく心の底からホッと一安心――そう胸をなでおろしたのも束の間だった。
「保育園の洗礼」という名の、免疫獲得レース

それにしても、噂に聞いていた「保育園の洗礼」の威力は凄まじい。
なぜ入園した途端にこうなるのかといえば、理由はシンプルだ。
家という守られた空間から、何十人もの子どもたちが集まる密な空間へ移ったから。
子どもたちはまだ、人生で出会うウイルスの大半に対して免疫を持っていない。
一人が持ってきた新しい菌やウイルスが、おもちゃの貸し借りやよだれを通じて、あっという間にクラス中にシェアされる。
そうやって次々に新しい洗礼を受け、体の中に「免疫の図鑑」を総当たりで作っている最中なのだ。
正式に言えば、その看病をゼロ距離でしている親もまた、無傷ではいられない。
子どもの強力な咳や鼻水を浴び続けるうちに、親の免疫の壁をも突破してくる。
子どもが治った頃に親が倒れるのは、この濃密な時間が原因なのだ。
空調の罠と、受け取ったバトン

そんなわけで、息子の鼻水が止まった安心感からか、今度は私ののどがチクリと痛み出した。
熱はないけれど、唾を飲み込むたびに確かな違和感がある。
原因は、日中浴び続けた息子の「洗礼の残り香」に加えて、夜間のエアコンだろう。
寝苦しい夏の夜、部屋を冷やそうとつけている冷気は、寝ている間に容赦なくのどの水分を奪っていく。
乾燥でバリア機能が落ちたのどに、バトンが綺麗に渡ってしまったわけだ。
「子どもが治ると親がもらう」という育児の洗礼を、いま身をもって実感している。
なぜ、あの場所でせきが出るのか
のどの痛みに加えて、困った症状がもうひとつ。
なぜか、会社に到着した瞬間や、静まり返った電車に乗ったときに限って、コンコンとせきが出てしまうのだ。
実はこれ、のどの粘膜が敏感になっているときに「急激な寒暖差」や「冷気」、あるいは「ホコリや乾燥した空気」を吸い込むことで、気管支がびっくりして防御反応を起こしてしまうのが原因らしい。
暑い外から、冷房の効いた駅やオフィスに入った瞬間がまさにその引き金。
一度スイッチが入ると、のどのイガイガが連鎖して止まらなくなってしまうのだ。
静寂の中での、ささやかな抵抗と対策

周囲に余計な心配をかけたくないという緊張感も手伝って、静かな空間でのせきは少し恨めしい。
だからこそ、最近はバッグの中に「せき止め対策セット」を忍ばせている。
まずは、家を出る前にマイボトルに入れた白湯。
せきが出そうになったら、冷えたのどを温めるようにちびちびと飲む。
これだけでも気管支の緊張がかなり和らぐのだ。
さらに、いざという時は手のひらのツボ(親指の付け根の膨らみにある「魚際(ぎょさい)」というツボ)をぎゅっと押して、神経を落ち着かせる。
そして何より、1枚のマスク。かつては義務だったマスクが、今は自分の呼吸の水分でダイレクトにのどを潤してくれる、頼もしい防護壁のように思える。
夏の夜の、ささやかな保湿大作戦

これ以上、この不調を本格的な風邪へと進化させるわけにはいかない。
そう決意して、我が家では今、絶賛「保湿大作戦」を敢行中だ。
日中のマスクや温活はもちろんのこと、夜は夜間で、7月だというのに加湿器をクローゼットから引っ張り出してきて稼働させている。
冷房と加湿器が同時に動く部屋は少し不思議な空間だけれど、のどを守るためには背に腹は代えられない。
シューシューと白いミストを吐き出す加湿器の音を聞きながら、今日も1日よくがんばった自分をいたわる。
息子が元気に保育園へ通える日常を守るためにも、今夜はしっかりのどを潤して、深く眠りにつこうと思う。
この記事を書いた人
Hirohi