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香りから始まる、森の話

現代人、特に都会に住む人々にとって遠い存在になりつつある森林。そんな森ですが、一歩足を踏み入れたとき、皆さんはまず最初に、何を感じますか?もしかしたら “香り” ではないですか??それは清々しくて、謎に癒されて、すぅーっと肺の奥というか、脳の奥まで届くような、そしてどこか懐かしい匂い。この香り、実は木が出している「フィトンチッド」と呼ばれる成分なのです。虫や菌から身を守るために植物が放っているこの揮発性物質で、人間にはありがたいことにリラックス効果、抗菌効果、さらには免疫力アップまであるらしく、森の中って、もはや無料スパですよね。

ちなみに、五感のうち、唯一“感情や記憶をつかさどる脳(大脳辺縁系)”に直接届くのが嗅覚です。視覚や聴覚は、一度脳の検閲室を通ってから届けられるのに、香りだけはノンストップの直通便!!だからこそ、森の匂いは無意識のうちに、わたしたちの心を整えてくれる。都会でやられた自律神経、森に来たら一気に回復する感覚に納得ですよね。

さて、ここで改めて「森」という角度から注目したいのが、我らが日本。実は国土の約66%が森林という、世界でもまれな森林大国って知っていましたか?いやいや、そんなに森あった?と思った方は、一旦、スマホの地図アプリで日本を緑色で眺めてみましょうか。山、山、山。そしてその中に街。そう、日本はほぼ森でできている。ただ、だからといって多ければ「豊か」なのかといえば、そうでもない!!「森の豊かさ」って、面積だけじゃ測れないんです。人工林と天然林のバランス、針葉樹と広葉樹の割合。適度な伐採と植林、そして動植物の多様性。

雨が降ると、落ち葉や土がスポンジのように吸収します。水は地中に染み込んでゆっくりとろ過され、やがてきれいな水として川や沢へ流れ出します。動物の糞、枯れた葉っぱ、ミミズの仕事も、土壌にとっては全部栄養です。

森が育んだ水が田畑を潤し、わたしたちの暮らしを支え、最後には海へ。海で蒸発し、雲になってまた森に雨が降る。これが、「森の循環」です!!

そして日本人は昔からこの循環の下で生活を営んでいましたし、生死に直結する、生きるために必要な循環だったのです。ですが当然、自然をコントロールできるはずもなく、だからこそ自然に対する畏敬の念が強くあった。八百万(やおよろず)の神、木にも岩にも水にも神様が宿ると信じていたのですね。わたしたち現代人に、いちばん足りていないのは、「そういう気持ち」なのかもしれない。されど確かにDNAに刷り込まれ、日本人、一人一人に存在しているはずの、素晴らしい感覚!!その感覚をなくしたくない!!と強く思うのは私だけでしょうか。

おしゃれなカフェに行く前に、山を拝み、森に一礼して深呼吸。近くにあるのならば、香りで自律神経を整えてからでも遅くない。森は、いつだってそこにいる。そして今も、わたしたちの暮らしを支えてくれている。

この記事を書いた人

駒田商店

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